お知らせ& コラム

ノスタルジーと事業用不動産の関係性①

◎本サイトはノスタルジーと不動産の関係性を前向きに捉えています。

ノスタルジーはヨーロッパ中世において戦地の兵士が帰郷への想いが高まって鬱状態になる病気のことを意味する精神医療用語だったようで、どちらかと言いますとネガティブな言葉として使われていたようです。

 

個人的ノスタルジーが空家・空店舗(の長期化)を生んでいる?

まちなか再生支援事業という仕事のなかで商店街における空き店舗問題に向かいあったときのことです。

所有者が空きの状態で放置していることがしばしば見受けられ、その原因を調べたことがありました。経済的に困窮していない前提もありますが、貸せるのか、売ろうか、片付けが面倒、誰に相談すればよいのか分からないなど・・・小さな障害を前に思考停止となり、数年放置してしまう心理的原因がほとんどであった。
人生においてあまり経験したことのない「不動産を動かすこと」という心的障害はあるが、放置が長期化してしまうのは無意識ながら個人的ノスタルジー(※)に浸っているという側面があるのではないかとおもわれました。

 

むしろ個人的ノスタルジーが不動産の利活用を促進させる

近年、ノスタルジーは健康やビジネス領域において注目され、脳科学・心理学における研究が盛んになり、さまざまな良い効果があることが分かってきました。
その一端が”過去から未来に向かう力”、”社会とつながる力”を強めると言われています。(それをビジネスに活用しようとする試みもすでに多数存在します)

空店舗所有者向けの個別面談やセミナーに参加された方々は先祖、祖父母、両親や地域や街のためにというノスタルジーから派生した動機が少なからずあり、空状態にしていたのは親族間の調整、修繕・改修費が出せないなどの経済的な事情で思考停止になっていたケースであったことが確認できました。

 

事業の営みと不動産の今後について

不動産の賃貸借、売買の各取引において経済的条件が重要な要素であることは間違いないのですが、今後、土地に根付くさまざまな歴史、建物が宿す思想など感覚的な要素が事業用不動産においてもさらに重要になってくるのではないかと考えています。
引き続き、ノスタルジーが事業用不動産にもたらすコトについて考察していきます。

 

※個人的ノスタルジー

ノスタルジーの分類については諸説ありそうですが、分かりやすいものとして個人的ノスタルジーがあります。
個々人の過去の記憶をベースに生まれる複合的な感情、その心境にあること。